「電動歯ブラシとデンタルフロス、どちらを先に使えばいいの?」——この疑問を持つ方は非常に多いです。順番ひとつで口腔ケアの効果は大きく変わります。歯科医師の立場から、正しい順番と使い方を詳しく解説します。
結論:フロスを先に、電動歯ブラシは後から
答えはシンプルです。デンタルフロスを先に使い、その後で電動歯ブラシで磨くのが正解です。
歯と歯の間(歯間部)には歯ブラシの毛先が届きにくく、プラーク(歯垢)が残りやすい場所です。フロスで先に歯間のプラークをかき出してから、電動歯ブラシで歯面全体を磨くことで、フッ素入り歯磨き粉が歯間まで浸透しやすくなり、虫歯・歯周病の予防効果が高まります。
実際に、歯磨き前にフロスを使うグループは磨き後にフロスを使うグループよりも、歯間のプラーク除去率が高いという研究報告もあります(Journal of Periodontology, 2018)。
歯科医師の見解:順番より先に「当たっているか」
順番はフロスが先で構いませんが、診療室で見ていて差がつくのは順番より「歯ブラシが適切な場所に当たっているか」です。電動歯ブラシは当たっている所は手磨きよりきれいになりますが、当たっていない所は落ちません。フロスを先にしても、歯ブラシが境目に当たっていなければ染め出しの赤は残ります。順番を整えたら、次の検診で赤く染まる場所を教えてもらい、そこに当てる練習をしてください。
電動歯ブラシの正しい当て方
電動歯ブラシは「自動で動く=任せておけばいい」と思われがちですが、正しい当て方があります。
基本の持ち方・当て方
- 力を入れすぎない:電動歯ブラシは軽く当てるだけで十分です。強く押しつけると歯茎を傷つけ、エナメル質を削ってしまいます。
- 歯と歯茎の境目に45度で当てる:バス法(歯ブラシを45度に傾けて歯と歯茎の境目に当てる方法)を意識しましょう。
- 1本ずつゆっくり移動させる:電動ブラシを素早く動かすのではなく、1〜2本ごとにゆっくり移動します。
磨く順番
磨き残しを防ぐために、毎回同じ順番で磨く習慣をつけましょう。例:右上の奥歯→前歯→左上の奥歯→右下→前歯→左下。
磨く時間の目安
電動歯ブラシの使用時間は2〜3分が目安です。多くの機種には2分のタイマーが内蔵されていますので活用しましょう。
デンタルフロスの正しい使い方
糸フロス(ロール式)の場合
- 約40cmのフロスを切り取る
- 両手の中指に巻き付け、親指と人差し指でつまんで操作する
- 歯と歯の間にゆっくり挿入し、歯面に沿ってC字形に曲げてこすり上げる
- 1箇所ごとに新しい部分のフロスを使う
フロスピック(Y字・F字型)の場合
操作が簡単で初心者向けです。前歯はF字型、奥歯はY字型が使いやすいです。ただし、ロール式に比べて奥歯への到達性が劣る場合があります。
フロスのNG行動
- 勢いよく歯間に押し込む(歯茎を傷つける原因)
- 同じフロスを複数箇所で使い回す(細菌を広げる原因)
歯間ブラシとフロスの使い分け
歯間ブラシとデンタルフロスはどちらも歯間部のケアに使いますが、使い分けのポイントがあります。
| 項目 | デンタルフロス | 歯間ブラシ |
|---|---|---|
| 向いている人 | 歯と歯の隙間が狭い人・若い人 | 歯と歯の隙間が広い人・歯周病経験者 |
| 特徴 | 細い隙間に入りやすい | 広い歯間のプラーク除去に強い |
| 使いやすさ | 慣れが必要 | 比較的簡単 |
理想的にはフロスと歯間ブラシを併用することが最も効果的です。歯の隙間の状態によって主に使うツールを決め、補完的にもう一方を使いましょう。
電動歯ブラシ選びで迷ったら
機種選びは別記事にまとめています。音波式か回転式かはソニッケアーとオーラルBの比較、そもそも電動が必要かは電動歯ブラシは必要?を読んでください。
まとめ
正しい口腔ケアの順番は「フロス→電動歯ブラシ」です。この順番を守るだけで、虫歯・歯周病のリスクを大幅に下げることができます。また、電動歯ブラシは「力を入れず、ゆっくり動かす」、フロスは「C字型に当てて歯面をこする」という基本を意識するだけで、毎日のケアの質が格段に上がります。
毎日同じ順番でやる。それだけで磨き残しの場所が減ります。
執筆・確認:歯科医師 中田雅昭(運営者情報・編集方針)
歯科医師確認:2026年9月(順番・当て方・フロスの使い方)
電動歯ブラシ・フロスの使い方に関するよくある質問(FAQ)
Q. 毎食後に電動歯ブラシとフロスを使う必要がありますか?
A. 理想的には毎食後の使用が効果的ですが、特に重要なのは就寝前のケアです。就寝中は唾液の分泌が減少して自浄作用が低下するため、夜のブラッシング+フロスが最もリスク低減に効果的です。少なくとも夜1回は丁寧に行いましょう。
Q. フロスと歯間ブラシ、どちらを優先すべきですか?
A. 歯と歯の隙間が狭い方(歯が密集している)にはフロスが向いており、歯周治療後や歯間が広い方には歯間ブラシが効果的です。歯科医師・歯科衛生士に自分の歯間サイズを確認してもらい、適切なサイズのケア用品を選ぶことが重要です。
Q. フロスを毎日使うと歯茎が下がりますか?
A. 正しい方法でフロスを使っても歯茎が下がることはありません。むしろ適切なフロスの使用はプラークを除去して歯周病を予防し、歯茎の健康を守ります。ただし力任せに「のこぎり状」に動かすと歯茎が傷つくため、やさしく歯に沿ってC字型に当てて動かすのが正しい使い方です。
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毎日のブラッシングをより確実にしたい方は、電動歯ブラシ比較|ソニッケアーとオーラルBはどちらが良いか(歯科医師の結論)もご覧ください。回転式と音波式の違い、それぞれが向いている人を実際に使ったうえで解説しています。
