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「骨粗しょう症の薬を飲んでいるけど、歯を抜いても大丈夫?」「インプラントを勧められたが、骨粗しょう症があってもできる?」——骨粗しょう症の治療を受けている方から、歯科治療に関するご質問をよくいただきます。骨粗しょう症治療薬(特にビスフォスフォネート製剤・デノスマブ)を使用している方の歯科治療には、特別な注意が必要なケースがあります。本記事では、骨粗しょう症と歯科治療の関係について詳しく解説します。
骨粗しょう症の治療薬と歯科治療の関係
骨粗しょう症(骨密度が低下し骨折しやすくなる病気)の治療に使われる薬剤の中に、歯科治療と注意が必要な関係性を持つものがあります。代表的なものが「ビスフォスフォネート製剤」と「デノスマブ(プラリア)」です。
ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)
アレンドロン酸(フォサマック・ボナロン)・リセドロン酸(アクトネル・ベネット)・ミノドロン酸(ボノテオ)・ゾレドロン酸(リクラスト・ゾメタ)などが代表的です。骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きを抑え、骨密度を維持する効果があります。
デノスマブ(プラリア)
生物学的製剤で、骨折リスクが高い骨粗しょう症患者に使用されます。ビスフォスフォネート製剤と同様に破骨細胞の働きを抑えます。
顎骨壊死(MRONJ)とは?
これらの薬を使用している患者さんの一部で、抜歯・インプラントなどの侵襲的な歯科処置後に「顎骨壊死(MRONJ: Medication-related Osteonecrosis of the Jaw)」が起こる可能性が報告されています。
顎骨壊死とは、顎の骨が壊死して露出し、治癒しにくくなる状態です。痛み・腫れ・排膿・歯のぐらつきなどの症状が出ることがあります。一度発症すると治療が非常に難しく、患者さんのQOL(生活の質)に大きな影響を及ぼすことがあります。
顎骨壊死のリスクはどれくらい?
顎骨壊死の発症リスクは、薬の種類・投与経路・使用期間・全身状態によって大きく異なります。
- 経口ビスフォスフォネート製剤(骨粗しょう症治療):発症リスクは比較的低いとされており、一般的な骨粗しょう症患者での発症率は0.01〜0.1%程度と言われています
- 注射用ビスフォスフォネート製剤(がん治療・高カルシウム血症):骨粗しょう症向けの経口剤より高用量が使用されるため、リスクが高くなる傾向があります
- 使用期間:3〜5年以上の長期使用はリスクが高まるとされています
歯科治療を受ける際の注意点と対応
歯科医師への申告が最重要
骨粗しょう症の薬を使用している場合は、必ず歯科医師にその薬の名前・用量・使用期間を申告してください。これは非常に重要なことです。申告がないまま抜歯等を行うと、リスク管理ができません。
抜歯・外科処置について
抜歯の必要性が生じた場合は、内科・整形外科の主治医と歯科医師が連携し、個々のリスクを評価した上で治療方針を決定します。場合によっては処置前に薬剤の一時中止(休薬)を検討することもありますが、これは主治医の判断によって行われます。患者さんが自己判断で薬をやめることは絶対に避けてください。
インプラント治療について
ビスフォスフォネート製剤を使用している患者さんへのインプラント治療は、リスクが高まる可能性があります。長期服用者・高用量使用者については、インプラント治療が禁忌(行うべきでない)と判断されることもあります。詳しくは担当歯科医師・内科医とよく相談した上で判断することが必要です。
日常的な口腔ケアの重要性
骨粗しょう症治療薬を使用している方にとって、口腔ケアは特に重要です。虫歯・歯周病を予防し、抜歯を必要としない状態を保つことが、顎骨壊死リスクを下げることにつながります。
- 毎日の丁寧なブラッシング・歯間ブラシ・フロスの使用
- 定期的な歯科検診・クリーニング(3〜6ヶ月に一度)
- 義歯(入れ歯)の清潔な管理
- 口腔内の異変(歯茎の腫れ・痛み・骨の露出など)が見られた場合はすみやかに歯科受診
まとめ
骨粗しょう症治療薬(ビスフォスフォネート製剤・デノスマブ)を使用している場合は、抜歯・インプラントなどの歯科処置に際して顎骨壊死のリスクに注意が必要です。ただし、適切なリスク管理のもとで多くの歯科治療は可能です。最も重要なのは、歯科受診時に必ずお薬の情報を申告し、内科・整形外科の主治医と歯科医師が連携して治療を進めることです。
骨粗しょう症の薬を使用している方で歯科治療を検討している場合は、まずかかりつけの歯科医師にご相談ください。個人差がありますので、状況に応じた適切な対応を確認することが大切です。
監修・執筆:中田雅昭(歯科医師)/東京都町田市・鶴川の歯科医院副院長。歯学部卒業後、一般歯科・矯正歯科・予防歯科を専門に10年以上の臨床経験を持つ。

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