インプラントと歯周病(インプラント周囲炎)の関係|リスク・予防・治療を歯科医師が解説

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「インプラントを入れたけど、歯周病になることはあるの?」「歯周病があるとインプラント治療は受けられない?」——インプラントをお考えの方や治療後の方からよくいただく質問です。実は、インプラントにも「インプラント周囲炎」という歯周病に似た病気が起こることがあります。本記事では、インプラントと歯周病の関係、インプラント周囲炎の特徴・予防・治療について歯科医師の視点から詳しく解説します。

インプラント周囲炎とは?

インプラント周囲炎とは、インプラントを支える歯茎・骨に炎症が起こる病気で、天然歯の歯周炎に相当するものです。細菌感染が主な原因で、インプラント周囲の骨が溶けることでインプラントが動揺し、最終的に脱落につながるケースもあります。

なお、インプラント周囲の炎症には2段階あります。

  • インプラント周囲粘膜炎:歯茎のみに炎症がある状態(骨の吸収はまだない)。天然歯の歯肉炎に相当。適切な治療・ケアで改善が期待できる段階
  • インプラント周囲炎:骨吸収を伴う炎症の状態。天然歯の歯周炎に相当。早期発見・治療が重要

インプラント周囲炎の発症率

様々な研究によって異なりますが、インプラント治療後5〜10年以内にインプラント周囲炎が発症する割合は、患者ベースで10〜20%程度という報告もあります。ただし、メンテナンスへの取り組みや個人差によって大きく異なります。

インプラント周囲炎のリスク因子

  • 歯周病の既往:以前に歯周病があった方は、インプラント周囲炎を発症しやすい傾向があるとされています。歯周病原因菌が口腔内に残っているためです
  • 不十分な口腔ケア:毎日の歯磨きが不十分で歯垢が蓄積すると、細菌感染のリスクが高まります
  • 喫煙:喫煙は歯周病だけでなくインプラント周囲炎のリスクも高めるとされています
  • 糖尿病(コントロール不良):血糖コントロールが不良だと免疫機能が低下し、感染しやすくなります
  • 定期メンテナンスの未受診:定期的なクリーニング・チェックを受けないと早期発見が遅れます
  • 骨造成・難しい部位へのインプラント:骨が少なかった部位や難しい埋入状況のインプラントは、周囲炎リスクがやや高い傾向があります

歯周病がある場合のインプラント治療

活動性の歯周病がある状態でインプラント治療を行うことは、通常推奨されません。なぜなら、口腔内に歯周病原因菌が多く存在している環境では、インプラント周囲炎の発症リスクが高くなるからです。

一般的には、歯周病の治療を先に行い、歯周組織の炎症を落ち着かせてからインプラント治療を行うのが標準的な流れです。重度歯周病があった方でも、適切な歯周治療を受けた上でインプラントを受けることは可能なケースが多いとされています。

インプラント周囲炎の予防

毎日の丁寧なセルフケア

インプラント周囲には天然歯に比べて歯垢が付きやすく、一度炎症が始まると進行しやすい傾向があります。柔らかめの歯ブラシで丁寧に磨くこと、歯間ブラシ・フロスでインプラント周囲の清掃を行うことが大切です。

定期メンテナンスの継続

インプラント治療後は3〜6ヶ月に一度の定期メンテナンスが推奨されます。専用の器具でインプラント周囲のクリーニングを行うとともに、骨の状態をX線で確認することが早期発見につながります。

禁煙

喫煙はインプラント周囲炎のリスクを高めるため、インプラント治療を受ける方・受けた方には禁煙を強くお勧めします。

インプラント周囲炎の治療

インプラント周囲炎が発症してしまった場合の治療としては、以下のような方法が行われます。

  • 歯石・バイオフィルムの除去(機械的清掃)
  • 抗生物質の局所投与
  • レーザー治療
  • 骨再生療法(GBR:溶けた骨を再生させる処置)
  • 重症の場合はインプラントの撤去

インプラント周囲炎は天然歯の歯周炎よりも進行が速い傾向があるとされており、早期発見・早期治療が非常に重要です。

まとめ

インプラントも天然歯と同様に歯周病(インプラント周囲炎)のリスクがあります。歯周病の既往がある方・喫煙者・糖尿病をお持ちの方は特に注意が必要です。毎日の丁寧なセルフケアと定期メンテナンスの継続が、インプラントを長持ちさせる最大の予防法です。

インプラント治療を検討している方・治療後のメンテナンスについて詳しく知りたい方は、担当歯科医師にご相談ください。個人差がありますので、ご自身の状態に合ったケアの方法を確認することが大切です。

監修・執筆:中田雅昭(歯科医師)/東京都町田市・鶴川の歯科医院副院長。歯学部卒業後、一般歯科・矯正歯科・予防歯科を専門に10年以上の臨床経験を持つ。

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