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「歯の神経を抜く」と聞くと、痛そうで不安に感じる方も多いと思います。でも実は、根管治療は歯を守るための大切な治療です。この記事では、根管治療の流れ・回数・痛み・費用・治療後のケアについて、歯科医師の立場から丁寧に解説します。
根管治療とは
根管治療(こんかんちりょう)とは、歯の内部にある「歯髄(しずい)」──いわゆる神経や血管の束──が細菌感染を起こした場合や、虫歯が歯髄まで達した場合に行う治療です。感染した歯髄を除去し、根管(神経が通っていた管)を清掃・消毒・充填することで、歯を抜かずに残すことを目的としています。
根管治療が必要になる原因
- 深い虫歯:C3〜C4と呼ばれる重度の虫歯で、歯髄に細菌が到達した状態
- 外傷による歯の破折:事故やスポーツで歯が折れ、神経が露出した場合
- 歯周病の進行:歯周ポケットから細菌が根管に入り込んだ場合(歯周・根管連絡病変)
- 以前の根管治療の失敗:根管内に細菌が残っており、再感染を起こしている場合
根管治療の流れ
Step 1:診査・診断
レントゲン撮影・CT検査・歯髄診断(冷温テストや電気歯髄診断)などで根管の状態を確認します。歯根の形状・本数・感染の広がりを把握することが治療成功のカギです。
Step 2:歯髄除去(抜髄)または感染根管処置
まず麻酔を行い、むし歯を除去したのち歯髄を取り除きます(抜髄)。または、以前の治療が再感染した場合は、古い充填材と感染物を除去する「感染根管処置」を行います。
Step 3:根管の清掃・拡大・成形
リーマーやファイルと呼ばれる細い器具で根管を拡大・清掃し、細菌を取り除きます。次亜塩素酸ナトリウムなどの薬液で根管内を洗浄(根管洗浄)します。この工程は丁寧に行うほど治療の成功率が上がりますが、複数回の来院が必要なこともあります。
Step 4:根管充填
根管が清潔になったら、ガッタパーチャと呼ばれるゴム状の材料と封鎖材を用いて根管を密閉します。根管充填が不完全だと再感染の原因になるため、正確な作業が求められます。
Step 5:歯冠修復(クラウン・詰め物)
根管治療後の歯は脆くなりやすいため、ほとんどの場合、クラウン(被せ物)で保護します。歯の残存量によっては「ポスト(支台築造)」でコアを作ってからクラウンをかぶせます。
根管治療の回数・期間
根管治療は一般的に2〜5回程度の来院が必要です。歯根の本数・感染の程度・根管の複雑さによって異なります。
- 前歯(1根管):2〜3回・1〜2週間
- 小臼歯(1〜2根管):3〜4回・2〜3週間
- 大臼歯(3〜4根管):4〜5回以上・4〜8週間
- 再根管治療の場合:さらに長くかかる傾向
根管治療中の痛みについて
「神経を抜くなんて痛そう」と心配される方が多いですが、治療中は麻酔を使用するため、ほとんど痛みを感じないことがほとんどです。ただし、以下のケースでは麻酔が効きにくいこともあります。
- 急性炎症が強く、組織が酸性になっている場合
- 根尖周囲炎(根の先に膿が溜まっている)がある場合
治療後1〜2日は歯に触れると痛む「咬合痛」が出ることがありますが、徐々に落ち着くことがほとんどです。個人差がありますので、痛みが強い場合や長く続く場合は担当医にご相談ください。
根管治療の費用
保険診療の場合
根管治療は保険適用となっており、3割負担の場合の自己負担額の目安は以下の通りです(クラウン代別途)。
- 前歯:2,000〜4,000円程度
- 小臼歯:3,000〜5,000円程度
- 大臼歯:4,000〜7,000円程度
自由診療(精密根管治療)の場合
マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)やCTを使った精密根管治療は自費診療となります。費用は1歯あたり5万〜15万円程度が多く、成功率が高まる傾向があります。保険治療との成功率の差については様々な見解がありますが、複雑な根管形態や再根管治療では精密治療が有利とされています。
根管治療後のケアと注意点
- クラウン装着まで硬いものは避ける:仮封(仮の詰め物)の状態は強度が低い
- 丁寧なブラッシング:治療後の歯も歯周病には罹患しやすいため、毎日のケアが重要
- 定期検診を受ける:根管充填後も年1〜2回のX線検査で根尖の状態を確認
- 歯ぎしり・食いしばりに注意:神経のない歯は割れやすいため、ナイトガード装着を検討
根管治療を正しく受けることで、歯を長く使い続けることができます。気になる症状がある方は、早めの受診をおすすめします。
監修・執筆:中田雅昭(歯科医師)/東京都町田市・鶴川の歯科医院副院長。歯学部卒業後、一般歯科・矯正歯科・予防歯科を専門に10年以上の臨床経験を持つ。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個人差があります。症状が続く場合は必ず医療機関を受診してください。

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