※本記事にはアフィリエイト広告が含まれます。
「矯正治療を始めたけれど、毎日のケアはこれで合っているのかな」「装置のまわりに食べかすが詰まりやすくて不安」と感じていませんか。矯正中はワイヤーやブラケット、マウスピースの周辺に汚れがたまりやすく、いつも以上に丁寧なお手入れが欠かせません。せっかく時間と費用をかけて歯並びを整えるのですから、治療が終わったときに虫歯や歯ぐきのトラブルを抱えてしまう状態は避けたいものです。本記事では、矯正治療中のお口のケア方法について、ワイヤー矯正・マウスピース矯正それぞれの特徴を踏まえて、歯科医師の視点から分かりやすく解説します。毎日の習慣としてすぐに取り入れられるコツも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
矯正治療中にケアが特に大切な理由
矯正装置をつけると、歯と装置のすきまや、ブラケットとワイヤーの境目に食べかすやプラーク(歯垢)が残りやすくなる傾向があります。プラークは細菌のかたまりで、放っておくと虫歯や歯肉炎の原因になると言われています。とくにワイヤー矯正の場合、装置を自分で外すことができないため、ふだんと同じ歯みがき方法ではみがき残しが生まれやすく、ケアのレベルを一段引き上げる必要があるのです。
また、矯正中は歯が動いている過程にあるため、歯ぐきに軽い炎症が起こりやすい時期でもあります。ケアを怠ると歯ぐきが腫れて出血しやすくなったり、矯正の進み方そのものに影響が出ることもあります。さらに、装置の周囲だけ汚れがたまったまま治療を続けると、装置を外したあとに「白く脱灰した跡」が歯の表面に残ってしまうケースも少なくありません。これは歯の表面のミネラルが溶け出して白濁した状態で、見た目の印象を損ねる原因になります。せっかく整えていくお口の中を、虫歯や歯周病、脱灰で台無しにしないためにも、毎日の丁寧なセルフケアがとても重要です。
ワイヤー矯正中の毎日の歯みがき方法
ワイヤー矯正中の歯みがきは「3つの方向から汚れを落とす」のが基本です。ふつうに歯の表面をみがくだけでは、ブラケットの上下や周囲に汚れが残ってしまいます。みがく時間も、装置がない場合よりも長めに、1回あたり10分前後を目安にすると安心です。次の3ステップを意識してみてください。
1. 歯と歯ぐきの境目を45度の角度でみがく
歯ブラシを歯と歯ぐきの境目に対して45度の角度で当て、小刻みに細かく動かします。この動きで、歯肉炎の原因になりやすい歯ぐきのきわのプラークを落とすことができると言われています。力を入れすぎず、毛先がつぶれない程度の軽い圧で動かすのがポイントです。歯ブラシの持ち方は鉛筆を持つようにすると力が入りすぎず、ちょうどよい圧でみがけます。
2. ブラケットの上側・下側を別々にみがく
ブラケットの上側は歯ブラシをやや下向きに、下側はやや上向きに当てて、装置の縁に毛先がしっかり入り込むようにみがきます。ここを丁寧にケアできるかどうかで、虫歯リスクが大きく変わる傾向があります。鏡で確認しながら、装置のまわりに白い歯垢が残っていないかチェックしましょう。1本の歯につき20回程度、小刻みに動かすイメージで、ブラケットを取り囲むように毛先を当てていくのがコツです。
3. ワンタフトブラシで細部を仕上げみがき
毛束が小さい「ワンタフトブラシ」を使うと、ブラケットの周囲や奥歯の届きにくい部分まで毛先が入りやすくなります。1本ずつ仕上げみがきをする感覚で、歯ブラシだけでは取りきれない汚れを丁寧に除去していきます。慣れるまで時間はかかりますが、虫歯予防には大きな効果が期待できると言われています。とくに最後臼歯の奥や、ブラケットとワイヤーの結紮部分は汚れがたまりやすいので、意識して時間をかけましょう。
マウスピース矯正中のケアと注意点
マウスピース矯正は装置を自分で取り外せるため、歯みがき自体はワイヤー矯正よりも行いやすい傾向があります。装置を外した状態でいつも通りに歯をみがけるのは大きなメリットですが、装着時間の長さゆえの注意点もいくつかあります。
まず、食事や甘い飲み物を口にしたあとは、歯をみがいてからマウスピースを装着するのが理想です。汚れがついた状態で装着すると、装置と歯のあいだに糖分や食べかすが閉じ込められ、虫歯リスクが高まると言われています。マウスピースは1日20時間以上装着するのが基本のため、その間ずっと汚れと歯が触れ続けることになります。外出先で歯みがきが難しいときは、せめて水でよくうがいをしてから装着するようにしましょう。
マウスピース自体のお手入れも忘れずに行います。専用の洗浄剤や水と柔らかい歯ブラシで毎日洗い、熱湯消毒は変形の原因になるので避けてください。歯みがき粉に含まれる研磨剤でマウスピースの内側に細かい傷がつくこともあるため、装置を洗う際には研磨剤の入っていないものを使うか、水洗いのみにすると安心です。マウスピース矯正に興味のある方は、こちらも参考になります。
矯正中におすすめのケアグッズ
矯正中は、歯ブラシだけでなく補助的なケアグッズを組み合わせるとお口の中を清潔に保ちやすくなります。代表的なのが「歯間ブラシ」「ワンタフトブラシ」「矯正用フロス(フロススレッダー)」です。歯と歯のあいだ、ワイヤーの下、ブラケット周囲など、歯ブラシだけでは届きにくい場所をしっかりカバーできます。歯間ブラシはサイズの選び方が重要で、無理なくスッと入るサイズを選ぶのが基本です。きつすぎると歯ぐきを傷つけ、ゆるすぎると汚れが落ちにくくなります。
毛先が細く、装置のすきまにも入りやすい歯ブラシを選ぶこともポイントです。普段使う歯ブラシにこだわると、毎日のケアの質がぐっと上がります。やわらかめのブラシは歯ぐきにやさしい一方、汚れを落とす力はやや弱まる傾向があるため、自分のお口の状態に合わせて選びましょう。
フッ素入りの歯みがき粉を併用すると、虫歯予防の助けになると言われています。お口の中の状態に合わせて、歯科医院で適した製品を相談すると安心です。洗口液(マウスウォッシュ)を取り入れる方も増えていますが、ブラッシングの代わりにはならないため、あくまで補助として使いましょう。フッ素濃度の高い洗口液やジェルを夜の最後に使うと、寝ているあいだにフッ素がじっくり作用しやすいと言われています。
食事の工夫と気をつけたい食べ物
ワイヤー矯正中はとくに、装置に負担がかかりやすい食べ物に注意が必要です。キャラメルやガム、お餅などの粘着性が高いものは、ブラケットやワイヤーに絡みつきやすく、装置が外れる原因になることもあります。せんべいや硬いナッツ、氷をかじるなどの行為も、装置の破損につながる傾向があるため避けたほうがよいでしょう。リンゴや梨など硬めの果物は、丸かじりせずに小さく切って食べることで装置への負担を減らせます。
また、色の濃いカレーやコーヒー、赤ワイン、紅茶、ぶどうジュースなどはマウスピースやゴム(モジュール)の着色を招くこともあります。マウスピース矯正中は、色の濃い飲み物を口にする前に装置を外す習慣をつけるとよいでしょう。食後すぐの歯みがきが難しい場合は、水で口をゆすぐだけでも汚れの蓄積を抑えるのに役立ちます。やわらかく調理した野菜や食べやすい大きさにカットした果物、ヨーグルトなど、装置にやさしい工夫もおすすめです。間食の回数が多いと虫歯リスクが上がる傾向があるため、ダラダラ食べを避け、食事のメリハリをつけることも大切です。
矯正中のトラブル対処法
矯正装置によるお口の中の違和感や軽い痛みは、歯が動くときに自然と起こりやすいものです。とくにワイヤー調整直後の2〜3日間は痛みが出やすい傾向があり、温かい食事よりもややぬるめのもの、やわらかい食事を選ぶと負担が少なくなります。ワイヤーが頬の内側に当たる場合は、市販の「矯正用ワックス」を装置に貼ると刺激をやわらげることができます。口内炎ができたときは、刺激の少ない食事を心がけ、長引くようであれば歯科医院で相談してください。
装置が外れた・ワイヤーが飛び出した・マウスピースが破損した、といったトラブルは自己判断で放置せず、できるだけ早めにかかりつけの歯科医院に連絡しましょう。放置すると治療計画が遅れてしまうこともあります。マウスピース矯正で装置を紛失した場合も、勝手に前の段階に戻したりせず、必ず担当医の指示を仰いでください。
定期的な歯科検診と専門家のクリーニング
毎日のセルフケアに加えて、歯科医院での定期的なチェックとプロフェッショナルクリーニングを受けることが、矯正治療を順調に進めるカギになります。とくに矯正中は、自分では取りきれないプラークや歯石がたまりやすいので、3〜4ヶ月に1度を目安にメンテナンスを受けるとよいでしょう。歯科衛生士によるクリーニングでは、装置周囲のしつこい汚れもしっかり除去してもらえる傾向があります。あわせてフッ素塗布を受けると、エナメル質の脱灰予防にも役立つと言われています。
矯正治療と並行して、虫歯や歯ぐきのチェックを定期的に受けておくことも大切です。矯正中に虫歯が見つかると、装置を一時的に外して治療を行うことになり、治療期間が延びる原因にもなります。早期発見できれば、装置を外さずに治療できるケースもあるため、歯科医師との連携を密にしておくと安心です。
痛みや違和感の出方、虫歯や歯ぐきの状態には個人差があります。気になる症状があるときは、自己判断せずに歯科医院へ相談することをおすすめします。日々のケアを習慣化することで、矯正治療を終えたときに健康で美しい口元を手に入れやすくなりますので、今日からできることから少しずつ始めていきましょう。きれいな歯並びと健康な歯ぐきは、一生もののお口の財産になります。
監修・執筆:中田雅昭(歯科医師)/東京都町田市・鶴川の歯科医院副院長。歯学部卒業後、一般歯科・矯正歯科・予防歯科を専門に10年以上の臨床経験を持つ。

コメント