「もっと給与がいいところに移りたい」「今のクリニックに将来性を感じない」——勤務医として働く中で、誰もが一度は考える転職。私自身、これまで複数のクリニックで勤務してきた経験から、転職を本気で考えている方に「本当に大切なこと」を率直にお伝えします。
監修:中田雅昭(歯科医師/登録番号 第185106号/昭和大学歯学部 2019年卒業)
結論:転職の見極めは「我慢できる軸」と「できない軸」の整理
転職を何度か経験して気づいたのは、「どこに行っても何かしら我慢しなければならないことは絶対にある」ということ。完璧な職場は存在しません。だからこそ、自分が 「何なら我慢できて、何が絶対無理か」 を整理することが、後悔しない転職への近道です。
本記事では、転職経験から導いた クリニック選びの5つの軸 を解説します。
- 距離(通勤時間)
- 時間(拘束時間・勤務体系)
- 上司(院長・先輩との関係)
- 人間関係(スタッフ・チーム文化)
- 評価(給与・昇給・歩合制度)
軸1:距離(通勤時間)
意外と軽視されがちですが、通勤距離が遠すぎると物理的に続きません。電車・車で片道 1 時間以上の通勤は、最初の数ヶ月は耐えられても、半年・1 年と続くうちに必ず疲弊します。
私の経験
かつて魅力的な条件(年収高め・症例豊富)のクリニックに応募したことがありますが、自宅から往復 2 時間半でした。給与は良かったものの、休みの日も「移動の疲れ」が抜けず、結果的に長続きしませんでした。
判断基準
- 片道 30 分以内:理想
- 片道 45 分以内:許容範囲
- 片道 60 分以上:給与が現状の 1.3 倍以上でないと続かない
軸2:時間(拘束時間・勤務体系)
歯科医院は 夜診・土日診療が多く、拘束時間が長くなりがち。これも転職前に必ず確認すべきポイントです。
確認すべきポイント
- 始業・終業時刻(残業の実態)
- 休憩時間の実態(昼休みに患者対応がないか)
- 週何日勤務か(週6 と週4.5 で大違い)
- 有給取得の実態
- 夜診のローテーション頻度
「拘束時間が長すぎても続きません」。家庭・趣味・自己研鑽の時間が確保できないと、心身ともに疲弊します。
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軸3:上司(院長・先輩との関係)
院長や指導医との相性は、毎日の出勤を楽しみにできるか、憂鬱になるかを決める最大の要因です。
面接で見極めるポイント
- 「教育方針」を質問したときの院長の反応
- スタッフが院長を「先生」と呼ぶか、「院長」と呼ぶか(雰囲気が分かる)
- 面接時に院長と短時間でも会話できる場を求める
- 「現在勤務している若手歯科医師」の在籍年数を聞く
私の経験
厳しすぎる上司のもとで働いた時期があります。技術的な指導は確かに身につきましたが、毎朝出勤前に動悸がするようになり、結局健康を損ねて辞めることに。「成長」と「健康」のバランスが大切だと痛感しました。
軸4:人間関係(スタッフ・チーム文化)
歯科医院は 歯科衛生士・歯科助手・受付スタッフとの連携が必須。スタッフ同士の人間関係が悪いと、診療効率も患者対応も劇的に悪化します。
面接時に観察すべきこと
- 受付スタッフが患者を見送る時の声色(疲れているか、明るいか)
- スタッフ同士の会話を耳にできるか
- 院内の整理整頓(チームの規律と相関する)
- SNS や Google レビューでスタッフの離職について言及がないか
軸5:評価(給与・昇給・歩合制度)
「お金がすべて」ではありませんが、頑張った分を頑張っただけ評価してくれるかどうかは、長期的なモチベーションに直結します。
給与体系の確認
- 基本給 + 歩合制 or 完全固定?
- 歩合率(売上の何%?)
- 昇給規定(年に何%?)
- 賞与の実績(最近 3 年間)
- 退職金制度の有無
「売り上げは全てを癒す」。給与が入ってきて、我慢した甲斐があったな、頑張った甲斐があったなと思えるのも、勤務医にとっての一つのやりがいだと感じています。
5 つの軸を「優先順位」で並べ替える
5 つすべてが完璧なクリニックは存在しません。あなたが今、人生のどのフェーズにいるかで優先順位が変わります。
| ライフフェーズ | 優先順位の例 |
|---|---|
| 20 代・独身・成長期 | 上司>評価>時間>人間関係>距離 |
| 30 代前半・結婚直後 | 評価>時間>距離>上司>人間関係 |
| 30 代後半・子育て中 | 距離>時間>人間関係>評価>上司 |
| 40 代・キャリア確立後 | 評価>人間関係>時間>上司>距離 |
「郷に入っては郷に従え」も大切
勤務医として勤める以上、クリニックの文化に合わせる柔軟性も必要です。すべてを自分仕様にしようとすると、どこに行っても続きません。
合わない部分があるなら、まずは「自分が変われるか」を考える。変われない部分が決定的に大きいなら、合うところを探し続けるか、自分自身で開業するか、選択肢は 2 つだけです。
転職活動の進め方
- 自分の優先順位を書き出す(5 つの軸で)
- 転職エージェント 2 〜 3 社に相談(業界特化が強い)
- クリニック見学・面談を必ず実施(最低 2 〜 3 院)
- 条件交渉(エージェント経由なら代行可)
- 内定後、必ず在職中のスタッフと話す機会を作ってもらう
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FAQ
Q. 転職は何回までしても大丈夫?
A. 3〜4回までは「キャリアアップ転職」として評価されることが多いです。短期間(1年未満)の転職を繰り返すと印象が悪いので注意。
Q. 同じ地域で転職を繰り返すと噂が広がる?
A. 歯科業界は狭いので、地域を絞った転職は注意が必要です。エージェント経由なら情報統制ができます。
Q. 年収アップだけが目的の転職はダメ?
A. 全く問題ありません。ただし、「年収のみ」で他の4軸を犠牲にすると長続きしないので、バランスは必要です。
Q. 開業と転職、どちらがおすすめ?
A. 「自分でコントロールしたい」気持ちが強いなら開業、「リスク回避」したいなら転職。30代前半までに1度は判断するのがおすすめです。
まとめ
転職で大切なのは、「完璧な職場を探す」のではなく「自分が我慢できる軸とできない軸を整理する」こと。優先順位を明確にすれば、後悔しないクリニック選びができます。
見極めは難しいので、思い切って飛び込んでみるのも一つの選択。「売り上げは全てを癒す」と感じる瞬間も、勤務医のやりがいです。
まずは転職エージェントに無料相談から始めてみてください。話を聞くだけで、自分の市場価値も明確になります。

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