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「いびきがひどいと言われる」「朝起きても疲れが取れない」「日中に強い眠気を感じる」——こうした症状が続く場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)の可能性があります。実は、歯科でもSASの治療に関わることがあります。本記事では、睡眠時無呼吸症候群の基礎知識と、歯科スプリント(口腔内装置)による治療法について歯科医師の視点から解説します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に気道が閉塞または狭窄することで、呼吸が一時的に止まる(無呼吸)または浅くなる(低呼吸)状態が繰り返される病気です。
一般的に、1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数(AHI: Apnea Hypopnea Index)が5回以上の場合にSASと診断されます。AHIが5〜14.9回が「軽度」、15〜29.9回が「中等度」、30回以上が「重度」に分類されます。
SASの主な症状・影響
- 睡眠中のいびき(特に大きないびき)
- 睡眠中の無呼吸(同居者が気づくことが多い)
- 朝起きたときの頭痛・疲労感
- 日中の強い眠気・集中力の低下
- 夜間の頻尿・口の乾燥
SASを放置すると、高血圧・心疾患・脳卒中・糖尿病などのリスクが高まる可能性があるとされています。また、運転中の居眠り事故につながるケースも報告されており、社会的にも重要な問題です。
SASの治療法と歯科の役割
SASの治療には、重症度や原因によって複数の選択肢があります。
CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
中等度〜重度のSASに対する標準治療です。専用のマスクと機械を使って就寝中に空気を送り込み、気道が閉塞しないようにします。効果は高いとされますが、機械を毎晩装着する必要があり、不快感を覚える方も一定数いると言われています。
歯科スプリント(口腔内装置/MAD)
歯科で製作するスプリント(マウスピース)による治療法です。下顎を少し前方に出した状態で固定することで、気道を広げていびき・無呼吸を改善することを目的としています。主に軽度〜中等度のSASや、いびきのみの場合に適応となることが多いとされています。
CPAPより携帯性が高く、旅行先でも使いやすいというメリットがあります。
外科治療
扁桃腺が大きい場合の扁桃摘出術や、鼻の形に問題がある場合の手術など、原因に応じた外科的治療が行われることもあります。
歯科スプリント治療の流れ
歯科スプリントによるSAS治療の一般的な流れは以下のとおりです。
- 1. 医科でのSAS診断:まずは内科・耳鼻科・睡眠専門クリニックなどでSASの確定診断を受けます。AHIが5〜30未満(軽度〜中等度)と診断された場合に歯科スプリントが適応になることが多いとされています
- 2. 歯科での型取り・スプリント製作:口腔内の型を取り、下顎を前方に出す角度を調整したスプリントを製作します。通常保険適用となる場合があります(医師の紹介状が必要)
- 3. 装着・調整:スプリントを装着して使用開始。違和感・顎の痛みなどが出た場合は調整を行います
- 4. 効果の確認:スプリント装着後に再度簡易検査などで効果を確認します
歯科スプリントのメリット・デメリット
メリット
- CPAPより小型・携帯しやすい
- 電気が不要なため旅行・出張にも対応できる
- 軽度〜中等度のSASには十分な効果が期待できる
- 保険適用になる場合がある
デメリット・注意点
- 重度のSASにはCPAPほどの効果が期待できないことがある
- 装着当初は唾液が増える・顎に違和感を感じることがある
- 長期使用で顎関節・咬合に影響が出るケースがある(定期検査が必要)
- 歯が少ない・歯周病が重度の場合には適応が難しいことがある
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、放置すると全身の健康に影響を与える可能性のある病気です。軽度〜中等度のSASやいびきに対しては、歯科スプリントが有効な選択肢となる場合があります。ただし、自己判断での対応は避け、まずは医療機関(内科・耳鼻科・睡眠専門クリニック)での診断を受けることが重要です。
「いびきが気になる」「日中の眠気が強い」という方は、かかりつけの医師または歯科医師にご相談ください。個人差がありますので、専門家による評価が大切です。
監修・執筆:中田雅昭(歯科医師)/東京都町田市・鶴川の歯科医院副院長。歯学部卒業後、一般歯科・矯正歯科・予防歯科を専門に10年以上の臨床経験を持つ。

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